東京6大学野球秋季リーグ戦で現在2位の慶大野球部。優勝は明大に奪われたが、29、30日の最終週に行われる伝統の早慶戦に向けて、練習に励んでいる。今回は、その慶大野球部の食事をのぞいてみた。
広島にドラフト1位指名された加藤拓也投手をはじめ、主にリーグ戦に出場する1軍メンバー約30人は神奈川県・日吉にある合宿所で生活している。そこで彼らの胃袋を支えているのが、調理担当の田中博さん。さっそくある日の夕食を紹介しよう。
この日のメニューは油淋鶏、八宝菜、焼きビーフン、ギョーザだ。スタミナたっぷり、ボリューム満点、いかにもスポーツ選手が好みそうな食事である。食材、バリエーションの豊富さとともに、これらすべての食事を田中さんひとりで作っているとは驚きだ。
田中さんがメニューを決める際に一番気を配っているのは、選手の好みに応えること。油淋鶏も選手たちの人気メニューの1つで、「作ってほしい」という要望に応えたものだ。
また、みんなが食事の時間を楽しめるようにとの配慮から、選手一人一人の好き嫌いを把握し、苦手なものがあったら、他の食材で補う等の手間もかける。もちろん、食の安全面にも十分に気を配り、常に新鮮な食材を使い、作りたての料理を提供することも心掛けている。
田中さんが慶大野球部の食事を作り始めたのはおよそ2年前から。初めの頃は、選手がどのような食事を求めているのかわからず、戸惑いや不安が多かったという。そこで、選手と言葉を交わし、試行錯誤しながらリクエストに積極的に応えるようにした結果、今では「選手とのコミュニケーションは抜群」と笑顔で話すまでになった。
選手の喜ぶ顔を見るたびにやりがいを感じ、楽しんで食事を作っている。「選手は息子のようにかわいい」と目を細めながら、うれしそうに語る田中さんからは、選手への愛情が伝わってきた。
「とにかく選手に喜んで食べてもらいたい」という、田中さんの熱い想いが込められた手料理を食べ、打倒早稲田に向けて選手はパワーアップするだろう。【慶應スポーツ新聞会】
ボリューム満点で食材が多く、バランスの摂れる食事です。タンパク質はもちろんですが、ビーフンでは糖質も摂れ、しっかりとエネルギー補給ができます。味噌汁のアサリ、ワカメでミネラルも補給。コミュニケーションを大切にし、好き嫌いを把握している中で、偏りがないよう考えてあるのがよく分かるメニューです。