<カラーセラピストに聞く>
「目で食べる」と言うように、食品自体の色や料理の盛り付けの配色は、食欲を刺激する上で大きな影響があります。人間には視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感がありますが、ニュートラルな状態において、脳へ送っている情報の80%以上が視覚によるものだそうです(文献によって多少の数字は違う)。
つまり、食べる前に視覚で料理や食品を認識し、過去の記憶と目の前の情報から食べて良いものか、おいしいかを予測し、受け入れ準備をしています。味覚の前に、あらかたの判断をしているのです。
アスレシピへの質問で「食が細いのでもっと食べさせるには?」「同じ量で満腹感を味合わせるには?」といったものが目につきます。
色の効果で食欲を増したり、抑えたりできるならば、解決策の1つになるのでは? 東京・足立区で、子育て中のお母さん方に色を通したサポートをする色育アドバイザーで、アドバンスプロカラーセラピストの村田容子さん(40)に話を聞きました。【聞き手・飯田みさ代】
食べたくなる色は暖色系
村田 赤いトマトと青いトマトがあったら、赤い方が美味しそうに見えますよね。赤、オレンジ、黄色といった暖色系は熟した色、食欲をそそる色です。逆に、自然由来の食材の中に「青」は存在しないので、青には食べもの=おいしいという情報が、私たちの中にインプットされていないのです。ナスやブルーベリーは、少しだけ赤みを帯びた紺色ですね。
一般的に日本人は赤、オレンジ、黄の暖色系の色と、黄緑、緑などの中間色が食欲を増進する色として好まれる。逆に青、紫は食欲が減退する色として嗜好性が低くなる。
村田 暖色系は交感神経を、寒色系は副交感神経を刺激し、活発化させます。赤系の色は、温かそうなイメージでアドレナリンも出てくるので、体温を上昇させます。胃腸の働きが良くなり、より食べ物を美味しく感じられます。
青色は食欲を抑え、ダイエットに効果があると言われている。
村田 お腹が減ったら「青」のものを見て、気持ちを静めてあげるといいですね。
しかし、一概に「青=食欲減退」とはいえないようだ。精神的に落ち着くことで、食欲を増す効果もあるという。
村田 赤は「危険」を表す色でもあるので、人によっては食欲が減退する場合もあるのです。部活動で疲れて帰ってきて、さあ食べなさい! と、赤色ばかりの食卓に通されて、気持ちが萎えるお子さんもいるでしょう。そういった場合には、青や緑を取り入れた食卓にし、気持ちを整えてから食べる方がいいでしょう。