<広島4-9巨人>◇16日◇マツダスタジアム
スリムな2代目若大将が、鬼門の地で暴れまくった。巨人岡本和真内野手(24)が広島相手に3戦連発。7回に広島鈴木誠を抜くリーグ単独トップの8号2ランを放った。チームを開幕カード以来の同一カード3連勝に導き、11年8月5~7日以来、9年ぶりにマツダスタジアムでの3連戦3連勝へ貢献した。
「めちゃくちゃ痩せているでしょ」。体重100キロの岡本が、強靱(きょうじん)な下半身からぶち込んだ。3点リードの7回2死二塁。フランスアの外寄り151キロ直球に、どっしりと構えると、ユニホームのパンツは今にも張り裂けそう。大木のような太もも、プリッと引き締められた臀部(でんぶ)で、グッと押し込んだ。打球はえげつない衝撃音を左中間の中腹で奏でるだけでなく、グラウンドに跳ね返っても、まだ勢いが止まらなかった。 岡本 たまたまです。得点圏でしたし、丸さんが送ってくれたので、どういう形でもいいので、何とかしようと。
先輩・丸のバントに、衝撃弾という最高の形で応えた。本塁打数を争う広島鈴木誠の前で3戦連発。リーグ単独トップに立ったが「(ホームランは)特に意識していないです。目の前の試合を1打席1打席大事にしていきたいなと思います」。謙虚に無心でダイヤモンドを1周する岡本を、鈴木誠は右翼で両腕を組んだまま、棒のように立ちつくし、見つめるしかなかった。
岡本の100キロもある体は、一見すると太っているように見えるかもしれない。違う。自粛期間中も怠らず、続けた筋トレ。スクワットは140キロを軽々とこなす。鍛え上げられた下半身が、どんな速いストレート、変化球をも黙らせる。炭酸飲料、菓子パンなどのおやつ類を封印し、食事とトレーニングで手に入れた無駄のない下半身。「スリムでしょ」。いたずらっぽく笑うのも無理はない。スーパーボディーの2代目若大将が、チームを敵地で9年ぶりの3戦3勝という物語を「完結」させた。【栗田尚樹】
(2020年7月16日、ニッカンスポーツ・コム掲載)