サッカーJリーグの鹿島アントラーズが、ホームタウン5市(茨城県鹿嶋市、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市)の小学生を対象に2014年から実施している「アントラーズ食育キャラバン」が11年目を迎え、今年は9~10月にかけて鉾田市の小学校7校を訪れた。
10月29日のキャラバン最終日に訪れたのは、鉾田南小学校。6年生131人に「座学」「運動」「食事」を通して、鹿島がプロサッカークラブとして培ったノウハウを伝えた。成長期に必要な食事について教え、コーチ陣たちがサッカーボールを使った運動を行い、一緒に給食を食べて子どもたちの笑顔を引き出した。
食育授業は公認スポーツ栄養士の松田幸子さん
食育の座学は、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士の松田幸子さんが担当した。この事業に関わって10年目の松田さんは、子どもたちが食事に興味を持てるよう、イメージしやすい言葉で説明していった。
例えば、5大栄養素の役割や働きをサッカーのポジションにたとえた。「炭水化物=FW」「ビタミン=MF」「タンパク質=CB」「脂質=SB」「ミネラル=GK」と説明すると、子どもたちは、食い入るように聞き入っていた。
また、食べるときのルールを「栄養ダブルハットトリック型」とした。「主食・主菜・副菜・汁物・果物・乳製品」の6品目を「『3点×2』のダブルハットトリック」と表現し、5大栄養素がバランスよくとれる食事をアドバイス。1回で食べる量については「片手に乗るぐらい」などと子どもたちが覚えやすいよう身体を使って具体的に伝えていた。
テキストには鹿島の3選手が登場
使用した講義テキストには、鹿島のMF名古新太郎、FW師岡柊生、DF濃野公人が登場。栄養の話だけでなく、食事をする姿勢、箸の持ち方など日常生活まで記載されている。そのテキストを元に、松田さんの話は「食事をする上での基本」についても及んだ。
松田さんの話を真剣に聞きながら、細かくメモをとる子も多かった。「何が印象に残ったか」をたずねると、「睡眠は1日9時間」「毎日必ず3食食べる」「楽しく生きるためには運動が必要」「今よりも1つ多く食べること」「当たり前を当たり前にやること」など、目を輝かせながら学んだことを教えてくれた。
松田さんは「最近は、朝ご飯を食べない子どもたちも増えています。まずは1日3食食べて、食事の量も少しずつ増やしていって欲しい。無理なく取り組めるような声がけをしています」と話し、給食時間も子どもたちと積極的にコミュニケーションをとっていた。
サッカーボールを使った運動では、鹿島アントラーズアカデミーのコーチ陣が指揮を執り、ゲーム形式を多く取り入れながら、楽しく身体を動かした。笑いの絶えない賑やかな授業となっていた。
この事業は、オフィシャルパートナーの昭和産業株式会社(本社:東京都千代田区)の支援を受けて実施しており、11年で計1万898人の子どもたちにレクチャーした。事業を担当する鹿島アントラーズFCの朝倉晶氏は「地元の子どもたちへ食事と運動の大切さを伝える事業として、今後も継続していきたい」と話していた。
【アスレシピ編集部・飯田みさ代】