<アスレシピ・フェアウェルパーティー:飯田みさ代編集長のあいさつから>

アスレシピは、今から8年前、2016年の3月30日にオープンしました。今年で9年目です。

アスリートの「アス」と、「明日」に向かって頑張る人を応援するという意味を込めて「アスレシピ」と命名しました。

なぜスポーツ新聞社が

当時は、色々な方から「なぜスポーツ新聞社が、食事や栄養のサイトをやってるの?」と聞かれました。そう言われると確かに…だったんですが、私にとっては当たり前というか延長線上にあったわけです。

スポーツには色々な側面があります。私たちスポーツ新聞社が報じているのは、トップチームの試合結果やトップアスリートの話題という、ほんの一部でしかありません。

そうではなく、育成年代に必要な食事やトレーニング情報、もっと言うと、このアスリートは何を食べてきたんだろう、何を食べたらこの人みたいな身体、この人みたいな発想や考え方になるんだろうという単純な興味があった、というのが発端です。

そこに至ったのは、私が子ども2人を育てる中で沸いてきた疑問や悩みがあったからです。

冒頭であいさつをする飯田編集長
冒頭であいさつをする飯田編集長

何を食べさせたらいいのか

成長期を迎えた子どもに何を食べさせたらいいのか、サッカーのレギュラーになるのはどうしたらいいか、ケガをさせない、早く回復させるには、どうしたら身体を大きくすることができるのか、そういったたくさんの悩みが沸いて出てきます。そのとき、私にはその解決策がないことに気付いたのです。

今ほどネットの情報がありませんでしたから、ジュニアアスリートのためのレシピ本を買ったわけです。川端理香さんの本でした。でも、参考になったのはレシピ数個のみ。細かく説明されているのですが、読む気がおきないし、読んでも意味がわからない。ミネラルって何ですか…という知識レベルだったからです。

ほかのお母さんたちってどうなのか、ということでスポーツ強豪校のお母さんたちに話を聞いていったら、「実は、お互いに食事の話をしたことがない」というわけですよ。話がそこに発展しなかったということもあるけど、「ライバルだから」と手の内は見せないわけですね。すると、食と母親に関連する人間模様が面白くなっちゃって、だったら食事に関して、こっそり悩んでいる人が多いんじゃないかということで、企画を進めていったわけです。

5周年記念として料理画像で作ったモザイクアートを手に話をする飯田編集長
5周年記念として料理画像で作ったモザイクアートを手に話をする飯田編集長

何もないときに思いだけで

親にとっては、日本代表の試合よりも我が子の試合の方が重要ですよね。スポーツが日常にある家庭の中にアスレシピがある、そういった世界を作りたいと考えました。

そういう思いをですね、サイトが生まれる前、10年ほど前に先生方にぶつけていったわけです。突然の連絡を受け、ただただ思いを語る私に、先生方はさぞかし驚いたことと思います。

物を作るときは「ペルソナ」というターゲットを作るんですが、そのペルソナは、最初は自分でした。自分が知りたいこと、自分がわからないことを先生たちにお聞きしてコンテンツにしていきました。

もっと早く知りたかったを減らしたい

一方で、食事について学べば学ぶほど、自分がやってきたことのふがいなさに直面しました。息子に対しては、懺悔ものです。直接本人には言ってませんけど、申し訳なかったな、もっと早く学んでおくべきだった、もっとやれることがあったという思いがあります。

私のように、もっと早く知りたかったと後悔する人を1人でも減らしたい、という啓蒙の意味を込めてやってきました。

フェアウェルパーティーに出席された先生方
フェアウェルパーティーに出席された先生方

セミナー計176回でのべ7712人

ただ、お母さん方も忙しいですし、理解度の差もありますから、読み物だけだと届かない部分があるわけですよ。そこで役立ったのがセミナーです。

2016年度~2024年度にかけて実施したセミナーは計176回でのべ参加者数は7712人。

内訳
有料=156回、無料=20回(タイアップ含む)
リアル(対面)50回、参加者1596人
オンライン129回(うちハイブリッド開催3件含む)、参加者6116人

オンラインで参加者300人超えというものもありました。リアルセミナーで印象深いのが、コロナ禍直前に明治大学で実施した明治大学ラグビー部の食事のセミナーです。

そのシーズン前の取材で私がいたく感動してしまって、「それを直に伝えたい」とお願いをして、大学選手権決勝の翌週に、大学の教室を借りて120人ぐらい集めてセミナーを開いたんです。チームの管理栄養士の先生とフィジカルのトレーナー、レギュラー選手にも4人来てもらってえらく盛況だったことを覚えています。

そのほか、異色なのはカンガルー肉のセミナー、相撲部屋でちゃんこ、最近ではマネーセミナー。名古屋、神戸、福岡と地方にも出向きました。

アスレシピで製作した書籍など
アスレシピで製作した書籍など

1度海外遠征もしています。カーリング世界選手権のサポートで、石村智子先生とアスレシピスタッフの真鍋千絵美が中国の深せんに出向き、おにぎりを握ってきたということがありました。

YouTubeの動画制作、電子書籍とPODでの書籍作りにもチャレンジいたしました。色々なグッズも作りました。

SNSのフォロワーはFacebookで11万人、インスタ、Xでそれぞれ2万人超え。日刊スポーツの会員制度、アスレシピIDには6500人以上が登録しており、未だに増えています。たくさんの方に触れていただきました。

アスレシピのセミナーに参加した受講者の写真など
アスレシピのセミナーに参加した受講者の写真など

「今の私があるのはアスレシピのおかげ」

アスレシピが終了するということで、お母さん方代表のアスレシピ・アンバサダーや、一般の方からもメールやお便りをいただいています。

メッセージの内容は、「自分が子育てで一生懸命だったときに並走してくれたアスレシピ、本当にありがとう、今の私があるのはアスレシピのおかげです」というものです。

まさに、その代表格が私です。

アスレシピを通じて先生方と触れ合うことで生き方、考え方が変わりました。「食事・運動・睡眠=健康」があってこそ、好きなことができる。その考えは日に日に強くなり、今後の人生の軸となっていくことと思います。

ここまで、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。