<アスレシピ・フェアウェルパーティー:樋口満早稲田大学スポーツ科学学術院名誉教授のあいさつから>

飯田編集長 樋口満先生とお会いして私の人生は変わったと言っても過言ではありません。最初にお会いしたとき「忍者だ」と思ったんですね。動きが見えない。さっきまでそこにいたのにもうここにいるとか(笑)。70歳を越えて、無駄のない動きに驚きました。

お会いするたびに「10キロ走ってきた」「今度マスターズのボート大会に出る」などエネルギッシュ。一方の私は「スポーツ新聞社に勤めてるのに運動しないなんて、けしからん」と言われ続けていましたが、そのおかげで意識が変わり、姿勢と歩き方のウォーキング講師へとなれたわけです。樋口先生のおかげです。

乾杯のご発声をする樋口名誉教授
乾杯のご発声をする樋口名誉教授

実年齢と生理学的な年齢はライフスタイルで違う

樋口名誉教授のあいさつから

乾杯のあいさつの指名を受けたのもこの中で暦年齢が1番高いからでしょうが(笑)、体力年齢は若いんじゃないかな、スポーツ測定などでは40代後半と言われています。実年齢と生理学的な年齢は違って、ライフスタイルによって変わってくるんですね。

アスレシピには、集英社新書から出した私の書籍「体力の正体は筋肉」「女は筋肉 男は脂肪」「スポーツする人の栄養・食事学」の3冊を、「おとなの食事・健康情報」のコーナーで連載しました。昨年は、築地本願寺でのエンディングフェアで、お寺で講演するという得がたい経験もできました。アスレシピは9年目ということですが、9年というと大学生が学部に入り、修士とって博士までという年月です。ですから、今日は「卒業式」なのではないかなと思っています。

日本ではマイナー、ボート競技の普及に尽力

日本のオリンピックでメダルが取れていない競技は4つあると言われています。1つがボート。1896年の近代オリンピック第1回の正式種目でもあり、 近代オリンピックの父、ピエール・ド・クーベルタンもボート競技をやっていて世界ではメジャースポーツなんですが、日本ではマイナー競技と言われています。

あとはラグビー。オリンピックではセブンスが始まったばかりなので仕方ありませんが、ほかはハンドボール、トライアスロン

ボートは生涯スポーツに適していると話す樋口名誉教授
ボートは生涯スポーツに適していると話す樋口名誉教授

私は高校時代からボートをやっていて、昨日も練習をしてきましたし、今度の日曜日もロングレースで6キロ漕いできます。日頃、平均年齢75歳の仲間と練習していて、全日本マスターズでも最高齢92歳の人がいるように、ボートは健康作りや生涯スポーツとして適しています。ひざにやさしく、(ローイングは)インドアでもできるスポーツです。

日本は長寿社会ですが、元気な高齢者が多いことを世界に証明することをライフワークとしています。自分も実践しながら、ボートの普及啓発活動をしています。

スポーツ栄養には国立健康・栄養研究所に勤めてから関わるようになり、管理栄養士も料理提供するだけでなく、研究もやらなきゃということで、応援しています。いまやどこの学会でも高齢化で学会員数が減っていると言われていますが、スポーツ栄養学会は会員が増えていて、若くて元気が良いです。これからの一層の活躍、期待しています。