夏の食べ物といえば、メロンやスイカが好物の方もいるでしょう。私もメロンが大好きなのですが、大人になってから食べた後に喉がかゆくなり、イガイガするようになりました。

メロンは比較的高価なので、そこまで頻繁に食べるわけではなく、1年たつとかゆくなったことを忘れてしまい、また食べたらかゆくなった…ということを数年間、繰り返していました。子どもの頃は普通に食べていたので、この喉のかゆみの原因がメロンだったと分かった時は、非常に驚きました。今もメロンは好きですが、喉がかゆくなるので食べる頻度は減っています。

花粉症と果物のアレルギーの関係

私はブタクサの季節に花粉症状が現れます。花粉症の症状と果物や野菜のアレルギーの関係については、以前のコラムで書いた通りです。

イネ科のカモガヤやキク科のブタクサなどが原因で花粉症になっている人は、ウリ科のメロンやスイカでアレルギー症状が出やすいことが分かっています。症状はじんましんやかゆみ、口や喉のイガイガなどさまざまですが、喉が少しかゆくなってもアレルギーだと思わず、食べ続けている人もいるのではないかと思います。

ブタクサ(右上)やカモガヤ(右下)で花粉症がある人は、メロン(左上)やスイカ(左下)を食べるとアレルギー症状を発症することがある
ブタクサ(右上)やカモガヤ(右下)で花粉症がある人は、メロン(左上)やスイカ(左下)を食べるとアレルギー症状を発症することがある

ある皮膚科医は「口の中がかゆいだけと軽視してはいけない。まれですが、呼吸困難などの症状が出る場合もあります」と話しています。小児科医も「果物を食べて違和感を覚える場合は、専門医を受診しましょう」と勧めています。

成人の口腔アレルギーは花粉症が影響

最近は20~30代で花粉症を発症する人が多く、比例して果物アレルギーも増えていると考えられています。成人の口腔アレルギー症候群の多くは花粉が影響するもので、「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれています。

花粉症の人は、同じ果物を大量に食べない、搾りたてのジュースを一度にたくさん飲まないなど、注意した方が良いでしょう。花粉-食物アレルギー症候群由来の果実アレルギーは軽症の事が多いものの、ごくまれに全身に症状が出てしまい、アナフィラキシーショックになることもあります。

好きな果物で急にアレルギー症状が起きるのはとても残念ですが、口腔アレルギーを起こす果実のアレルゲンは熱に弱いため、生ではなく、加熱すれば大半は食べられるようになります。ジャムや缶詰にすれば、症状が出なくなることが多いでしょう。自分の症状と原因を理解して、食べ物とうまく付き合っていきましょう。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子