気温が高くなり、ゼリーやアイスなどに手が伸びる方も増えてきたのではないでしょうか。そんな冷たいお菓子にも入っている糖類の一種「ペクチン」でアレルギーを発症する人がいます。「ペクチンアレルギー」と聞いたことはありますか。

柑橘類やリンゴの果皮に含まれるペクチン

ペクチンとは、ユズ、レモン、オレンジなどの柑橘類やリンゴの果皮に多く含まれている増粘多糖類の1つです。その高い粘りを生かしてとろみや口あたりの改良、ジャムのゲル化などの目的で菓子や惣菜などに食品添加物として使われています。ジャム、ゼリー、スムージー、ヨーグルト飲料等の中に含まれていることが多く、食物繊維の機能面を活かして、栄養補助食品や医療分野、介護食にも使用されています。

ペクチンアレルギーの症状としては、呼吸器症状(激しい咳込み等)、皮膚症状として出現されると報告されています。

このアレルギーで症状が重篤化することはまれですが、原因とされる物質の構造と、カシューナッツやピスタチオとの構造が似ているため、ペクチンアレルギーの人がカシューナッツやピスタチオを摂取すると症状が出る場合がある(交差反応)ので注意が必要です。症状が出たら速やかに医療機関を受診してください。

ピスタチオ(左)とカシューナッツ
ピスタチオ(左)とカシューナッツ

増粘多糖類は推奨、原材料表示に注意

なお、ペクチンなどの増粘多糖類などの添加物に含まれる果実(リンゴ由来、オレンジ由来など)は、特定原材料に準ずるもの20品目のうち「推奨表示」であり、義務表示があるものではありません。ペクチンだけでなく、大豆由来の増粘多糖類を使用していても推奨品目のため表示していないこともあるため、アレルギーがある人は原材料表示には十分注意しておきましょう。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子