10月に入り、随分と過ごしやすくなりましたね。秋も深まり、野外イベントへ出かけたり、スポーツイベントに向けて練習に勤しんでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、食物アレルギーに関する「ヒヤリハット」について紹介します。ヒヤリハットとは、一歩間違えば重大な事故につながる可能性があった出来事のこと。食物アレルギーの方と一緒に出かけるとき、贈り物を渡すときなどの事故防止につなげてほしいと思います。

どのような事例があるのか、よくあるシーンを4点紹介します。

ドリンクバーの共通ノズルからアレルゲンが混入(乳アレルギー)

レストランのドリンクバーでオレンジジュースを選んで飲んだところ、皮膚症状が出現してきたため、オレンジジュースを飲むことを止めました。

【原因】 ドリンクバーの共通ノズルから出てくるドリンクの中に、乳成分を含む飲料が含まれていました。前のお客様が乳成分を含む飲料を選択していたことで、共通ノズル部分に乳成分が残ってジュースに微量混入してしまった可能性があるというこということでした。ドリンクバーでは共通ノズルからのアレルゲン混入の可能性があることも覚えておきましょう。

化粧品に乳由来の成分、アレルギー症状出現(乳アレルギー)

乳アレルギーの患者さんが友人に勧められて、二重まぶたにする美容液をつけてみたところ、まぶたが腫れてしまいました。

【原因】 美容液の原材料を確認すると、乳由来のカゼインが含まれていました。食物アレルギーの患者さんは食べ物だけでなく、アレルゲンを含む化粧品を肌につけるだけで症状が出現するケースがあります。化粧品についても、成分をよく確認してから試すようにしましょう。

以前から食べている加工品で症状が出現することも(鶏卵アレルギー)

今まで何度も購入して、問題なく食べられていた加工食品。原材料を確認せず購入したところ、アレルギー症状が出現しました。

【原因】 パッケージが同じだったこともあり、原材料を確認せずに購入したものの、実は原材料の一部をリニューアルして卵由来成分を含んでいたため、アレルギー症状が出現しました。食品メーカーは大々的に告知せずに原材料の変更を行うことがあります。以前から食べても問題ない食品であっても、原材料表示を確認してから購入するようにしましょう。

豆乳スープに乳由来成分が入っていることも(乳アレルギー)

食の野外イベントで販売されていた「豆乳カボチャスープ」。「豆乳なら乳成分は入っていない」との思い込みで飲んでみたところ、かゆみなどの皮膚症状が出てきてしまい、食べるのを止めました。

【原因】 原材料を確認したところ、かぼちゃペーストの中に乳成分が含まれていることがわかりました。また、「豆乳スープ」には乳成分は使用されないという先入観で原材料を確認しなかったことも要因でした。アレルゲンは入っていないはずという先入観は外して、購入するようにしましょう。

ここに挙げた「ヒヤリハット」はほんの一部ですが、皆さんはどのように感じたでしょうか。思いがけないところでの混入があると思いませんか。

今では、コロナ禍では見かけなくなった試食コーナーも復活しています。試食の容器やトングなどからアレルゲンが混入する可能性も高いため、十分注意が必要です。

「おそらく、入っていないだろう」「前回食べても問題なかったから」という思い込みが、思わぬ事故につながる可能性があります。製造環境、原材料表示などは十分に確認してから、購入するようにしましょう。

今回紹介するレシピは、「筋力アップ豆腐キーマ米粉カレー」です。秋は運動会やスポーツ大会などで身体を動かす機会が増えてきます。そんなときに、手軽に作れる“パフォーマンスアップカレー”です。

動物性タンパク質と植物性タンパク質を同時に摂取することで、筋力アップにつながるといわれているため、豚肉と木綿豆腐を使用しています。豚肉は、肉の中でもエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1が多く含まれており、練習量の多い時期には意識して摂取したい食品の1つです。

また、秋は乾燥が進むことで、空咳や痰のからみなどの呼吸器系の不調が出やすい時期でもあります。豆腐は、水分を補って潤いを与える食材の1つでもあります。筋力アップ、乾燥対策としても秋の季節にお勧めのカレーです。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子