コエンザイムとは、日本語で「補酵素」、酵素を助けるもののことです。酵素が働いて化学反応が起こり、代謝が進むため、代謝を助けるものと理解しても良いでしょう。ビタミン類はここに含まれます。

 中でも有名なのが「コエンザイムQ10」。ビタミンの定義は「微量で体内の代謝に重要な働きをしているにもかかわらず、自分で作ることができない化合物」ですが、コエンザイムQ10は体内で作ることもできるため、ビタミンには含まれません。化学名を「ユビキノン」、体内では還元型の「ユビキノール」に変わり、これが強い抗酸化作用を持ちます。

 抗酸化作用が強いため、動脈硬化疾患(心筋梗塞や脳梗塞)を予防するサプリメントして売られているものがあります。最近では、アンチエイジング(抗老化)を期待して美容のために、また疲労回復効果があるといわれているので、運動後のリカバリーのために利用しているアスリートもいると聞きます。

 とはいえ、食品では肉や魚に含まれていますし、肝臓でも合成されます。肉や魚をしっかり食べている成長期のアスリートなら、サプリメントは必要なさそうです。

 サプリメントの使用において、高用量でも副作用が出にくく、かなり安全性が高いと考えられています。多量に摂取した場合に軽度の胃腸症状 (悪心、下痢、上腹部痛) が報告されているものの、重篤な副作用は認められていません。

 しかし、ビタミンのように食事摂取基準による推奨量や上限値などは策定できていません。ヒトが1日に何mgのコエンザイムQ10を摂取すべきかについては、実はまだよく分かっていないのです。日本では、医薬品として使用する場合、上限量は1日に30 mgです。これを超えないようにした方が良さそうです。

参照:国立健康・栄養研究所 「健康食品」の 安全性・有効性情報

【管理栄養士・今井久美】