<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

ミカンと言うと、一般的には温州(うんしゅう)ミカンを指します。温州ミカンは鹿児島県原産とされるミカン科の果実です。

多くの種類があり、収穫時期によって早生、普通と分けられています。早生は緑色のものも多く、酸味が楽しめます。含有栄養素量はあまり変わりません。

早生ミカン
早生ミカン

形は扁平で、果皮は薄めでハリとつやがあり、きめが細かいものが良品です。大きすぎると果皮やじょうのう(果肉を包んでいる袋)が厚い場合があります。重みを感じるものは果汁が多いです。細い枝になった果実の方がゆっくり成長して甘味が増すので、ヘタは小さい方が甘い傾向にあります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ミカンにはβクリプトキサンチン、ビタミンC、食物繊維などが多く、ビタミンB群もバランス良く含まれています。Lサイズのミカン1個で、1日のビタミンC推奨量の約1/3を摂ることができます。手で皮をむくことができ、持ち運びしやすいため、冬のビタミンC供給源としてお弁当や補食におすすめです。

βクリプトキサンチンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。骨粗しょう症予防、内臓脂肪低減、血流改善などの作用があります。

注目成分はヘスペリジンです。果皮やじょうのうの白い筋に多く含まれるフラボノイドの一種で、抗酸化作用のほか毛細血管を強化する作用があります。

ミカンをたくさん食べると手が黄色くなるのは「柑皮症(かんぴしょう)」と言います。カロテノイドの過剰摂取によるもので、ミカンだけでなくニンジンなどでもなります。全身が黄色くなりますが、手のひらや足の裏、爪などが目立ちます。黄疸との違いは白目は黄色くならないことです。皮膚が黄色くなる以外に問題はありません。必要に応じてビタミンAに変換され、食べなくなれば自然と元に戻ります。

漢方では成熟果の果皮を乾燥したものを「陳皮(ちんぴ)」、未熟果の果皮を乾燥したものを「青皮(せいひ)」と言い、健胃、鎮咳、去痰などに用いられます。陳皮は七味唐辛子にも入っています。

乾燥または生の果皮を湯船に入れると、リラックス効果があるうえ体が温まり、冷え症、肩こり、筋肉疲労を改善し、風邪を予防します。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、美肌効果、生活習慣病予防、骨粗しょう症予防、疲労回復、食欲増進、整腸作用などです。

保存するなら
ヘタを下にして風通しの良い冷暗所で保存します。1つずつキッチンペーパーに包むとカビが生えにくくなります。早生はあまり日持ちがしませんが、普通は常温(冷暗所)で約1カ月、冷蔵すると2カ月ほど持ちます。

冷蔵する場合は低温障害を防ぐため、ペーパーに包んだものをポリ袋に入れて野菜室で保存します。

冷凍ミカンを作る場合は、凍ったものを水にくぐらせて再冷凍し、表面に氷の膜を作るのがコツです。

【管理栄養士・高木小雪】