選手をサポートし、不足している栄養を食事で改善していくためには、まず「食環境」を確認します。ジュニアアスリートの場合、自宅で保護者が準備することが大半ですが、大学生以上になると1人暮らしをする選手も増えてきます。また、学校やチームの寮に入る選手も少なくありません。

どの環境においても、食事・栄養面の課題を改善するときに重要になるのは、

(1)食事を準備するのが誰か
(2)その食事を変えることが可能か

という2点です。これによって、食事改善に関する情報を誰に共有し、実践に向けて取り組むかが変わってくるからです。

タンパク質、鉄、カルシウム、ビタミンC、食物繊維

今回は、不足する栄養を食事で改善するためのポイントとして、特に、寮や1人暮らしのため自分で対策しなければならない選手にすすめる「5つの食材」を紹介します。不足傾向が高い栄養素は「タンパク質」「鉄」「カルシウム」「ビタミンC」「食物繊維」。これらを手軽に摂れる食材を、日頃の食事に摂り入れてください。

1、卵
 タンパク質を手軽にとれます。まとめてゆでておき、不足しやすい朝食や補食としてタンパク質を追加したいときにプラスできます。少量ではありますが、鉄やカルシウムもとれます。

2、納豆
 タンパク質はもちろん、鉄やカルシウムも卵同様にとれます。さらに食物繊維も豊富で、発酵食品として菌(納豆菌)もとれるため、腸内環境を整えるための栄養素も豊富です。

3、サバ缶
 魚の摂取は意識しないと少なくなります。そういった時に使えるのが、サバ缶です。魚の油には必須脂肪酸のEPAやDHAを豊富に含みます。また、鉄、カルシウムも豊富に含まれています。缶詰であれば常温保存が効く点もうれしいポイントです。

4、ブロッコリー(冷凍)
 ブロッコリーはおかずに付け合せるだけでビタミンCがとれます。冷凍であれば通年販売されて手に入りやすく、食事にプラスしやすいのも利点です。食物繊維や抗酸化作用のあるβカロテンやスルフォラファンもとれるので疲労回復にもうれしいポイントです。

5、小松菜
 鉄・カルシウム・ビタミンCが豊富です。味にクセもなく使いやすいので、生鮮食品を保存できる場合は購入しておくと便利です。ちぎってレンジでチンしてドレッシングで、刻んでインスタントみそ汁やスープに入れれば調理機器がなくても食べられますし、ビタミンCの損失も少なくできます。

1人暮らしの選手におすすめする常備食品5選

食材(分量)目安量 タンパク質
(g)
食物繊維
(g)
カルシウム
(mg)

(mg)
ビタミンC
(mg)
卵(50g)1個 6.1 0.0 24 0.8 0
納豆
(40g)1P
6.6 2.7 36 1.3 0
サバ水煮缶
(95g)1/2缶
19.9 0.0 247 1.5 0
ブロッコリーゆで
(30g)2~3房
1.2 1.3 12 0.3 17
小松菜・生
(40g)1株
0.6 0.8 68 1.1 16

※文部科学省「日本食品標準成分表2020年度(八訂)」より算出

各環境によって冷蔵や冷凍保存できるかの課題もありますが、自分で食事の対策に取り組み、栄養の不足分が摂れるようになれば、コンディションや体づくりが変わってきます。取り入れられるものがあれば、ぜひトライしてみてください。

今回紹介するレシピは「サバ缶と卵のオートミール丼」です。寮生活や1人暮らしの選手に作って欲しい、レンジで作れる時短メニュー。調理時間はわずか7分です。

相変わらず人気のサバ缶と、今年大流行したオートミールと卵の組み合わせ。タンパク質と食物繊維がとれるので、主菜のおかずや野菜類が不足しているときの推奨メニューです。ジュニアアスリートも自分で作れるほど簡単です。ご家庭でも、忙しい朝にいかがでしょうか。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美