4月の新学期では学年が1つ上に上がるだけでなく、小学生から中学生に、中学生から高校生に、高校生から大学生や社会人になるなど、環境が大きく変わるアスリートがたくさんいます。環境の変化はアスリートにとって、身体的にも精神的に大きな影響を与えます。今回はこの時期におけるコンディショニングについてお話しします。

学校が遠くなるとエネルギー消費量が増加

学校が変わると、家から距離が遠くなることが多く、通学方法が変わります。遠くなれば通学時間は長くなり、朝は早く起きて家を出なければなりません。逆に夜は、帰宅・夕食・就寝すべての時間が遅くなるため、1日の活動時間が長くなってエネルギー消費量が増加します。

夕食時間が遅くなることで、体重を気にして食べる量を減らしたり、食欲がなくなって夕食の量が減ったりすると、エネルギー不足を起こします。おなかがすいて夕食にドカ食いをすると、消化が間に合わず、熟睡できない可能性があります。睡眠時間が減る上に熟睡ができないと、成長ホルモンの分泌も減り、エネルギーの回復や筋肉の修復が遅れ、疲労が残ります。

練習時間や強度によってエネルギー消費量が増加

年齢が上がれば上がるほど、練習時間が長くなったり、練習日数が増えたり、内容が変わって強度が上がったりします。練習時間、頻度、強度どれが多くなってもエネルギー消費量は増加します。

エネルギー消費量の増加に伴って食事量を増やさないと、エネルギー不足に加え、タンパク質などの三大栄養素およびビタミン、ミネラルすべてが不足します。不足が続けば体重は減少し、貧血や骨膜炎、筋膜炎など様々な故障や不定愁訴が現れるようになります。

住む場所が変わるとエネルギー摂取量も変化

また、大学生や社会人になると1人暮らしを始める選手がいます。買い物から調理、片付けまで1人でやらなくてはならず、自分で食環境を整える必要があります。「身体の声」を聞かず、自分の食べたいものだけを食べていると、体重減少や不定愁訴を引き起こすだけでなく、たくさん食べなくても体重が増えたり、体調を崩しやすくなったりしてコンディションの悪化につながります。

高校生、大学生で寮に入る選手もいます。寮の食事は一見整っているような印象を受けますが、施設によって大きく異なります。提供される食事が明らかに自分と異なる競技の選手を対象に作られたものであったり、指導者や選手の間違った認識で量や内容が適切でなかったりすることがあります。食事が提供されないにも関わらず、調理設備がない場合もあります。限られた食環境の中で自分にあった食事を摂ることができなければ、自炊同様コンディションの悪化につながります。

弁当も給食と同じぐらいの量が必要

中学・高校進学で注意すべき点は給食が弁当になることです。弁当箱が小さくなる選手がいますが、学校給食はその年代に必要なエネルギーをはじめ、各種栄養素が十分摂れるように献立が作られているので、給食と同じかそれ以上に食べないと、エネルギー不足が起こりバランスも崩れます。

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