脱水や熱中症が気になる季節になりました。運動前後の水分補給が大切なことは、すでに皆さんもご存知ですよね。

体が水分を保つためには、糖質補給が大切な要素になります。3食の食事や補食で炭水化物をしっかり摂ることで、練習時の効率的な水分補給が生きてきます。今回は食事でできる水分補給について考えていきましょう。

食事量が少ないと水分量がとれない

成人の水分出納量において、食事で1000ml、飲水で1200mlを目安に摂取すると、尿や大便、不感蒸泄分(皮膚や呼気からの水分喪失)の排泄量と均衡になるといわれています。活動量や汗の量で飲水量を調節するとしても、食事量が少ないと水分不足になりかねないということです。

ですから、3食のうち1食でも欠食があると、エネルギーだけではなく、水分不足になる可能性があります。特に、減量中で食事量を少なくしているアスリートは、水分補給を意識して行いましょう。

洋食より和食の方がいいの?

普段の、洋食と和食、どちらが多いですか? それぞれの主食を考えてみましょう。

洋食である「パン」は口あたりが軽いため、「夏場はごはんより食べやすい」といった声をよく聞きます。ただ、水分補給という観点で見ると下の表にある通り、パンよりも和食の主食である「ごはん」の方が水分量が多く、食事から水分を摂るには「ごはん」に軍配が上がります。

主食の水分量比較

食品名・量 エネルギー(kcal) 水分(g) 炭水化物量(g)
オートミール・50g 190 5.0 34.6
食パン・6枚切り2枚 312 47.0 55.7
うどん・1人前 263 187.5 54.0
ごはん200g 336 120.0 74.2

パンの水分は少ないものの、洋食ではスープや牛乳、ヨーグルトなどの乳製品を組み合わせることで水分補給ができます。今流行しているオートミールなどのシリアルも水分含有量が少ないので、スープや牛乳を上手に組み合わせるなど、それぞれの特徴を知り、食事全体を見て対応しましょう。

水分補給になぜ糖質が必要か

水は、糖質と一緒に体に貯留されます。つまり、体に水分を貯めておくには糖質が必要で、食事で主食を抜くと脱水になるのです。「糖質オフ」といって主食を抜くと体重が減った気がしますが、ごく短期間での体重の減少は、水分が抜けたことによるものが多いのです。

逆に言うと、体に水分を貯めておきたいタイミングでは、糖質と水分をセットでとるのが良いでしょう。学校から「水筒の中身は麦茶や水」と指定されている小中学生は、糖質が入っているスポーツドリンクを持参することができません。そういう人は特に、食事で糖質と水分を一緒にとることを意識していきましょう。

今回紹介するレシピは、糖質を十分に補える「生ハムトウモロコシごはん」です。今が旬のトウモロコシを使っていますが、缶詰のコーンでもOKです。

トウモロコシ自体にも糖質が多く含まれているので、ごはんと合わせるとさらに効率よくエネルギー補給ができます。また、味付けご飯は白いご飯より食が進みやすく、食欲がない時にもおすすめです。

おにぎりやお弁当には、トウモロコシと一緒に炊きこんだ生ハムを、普通のハムやベーコンにすると衛生的にも安心です。大皿に盛りつけて、ちょっとしたパーティー料理としても喜ばれます。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子