スポーツ傷害の1つである「前十字靱帯(じんたい)損傷」は、男性よりも女性で発症率が高いことや、月経周期によってその発生率が変化することが知られています。性差の要因として女性ホルモンが関係していると考えられていますが、今回は最新の研究を紹介しながら、なぜ前十字靱帯の損傷が女性に多いのかをお話しします。
靱帯損傷が起きやすい競技
靱帯損傷が起きやすい競技は次のものが挙げられます。
●接触型=ラグビーや柔道など。内側からや外側からの外力を受けて受傷するもので、内・外側側副靱帯などの複合損傷となりやすく、男性に多いといわれています。
●非接触型=バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなどの減速動作の多い種目で頻発。ジャンプの着地、方向転換などで受傷するケースが多く、女性に多いといわれています。
前十字靱帯の損傷や断裂をすると膝に不安感が強くなります。罹患期間が2年以上続くと有意に軟骨損傷の範囲と半月板損傷の割合が増大するとも言われています。
前十字靱帯損傷の発生率が一番高いのは?
筋肉は靱帯を介して骨にくっついています。骨と骨のバランスが悪いと、膝前十字靱帯を痛め、さらにバランスが悪いまま筋力が強くなると靱帯が損傷するのです。
前十字靱帯損傷の発生率が最も高いのは16歳で、月経周期のうち「排卵期に発生率が高い」といわれています。これは、大腿骨に対して脛骨が前に引き出される力(膝前方弛緩性)や、全身の関節の柔らかさ(全身関節弛緩性)に関係しており、これらが月経周期によって異なるのでは? と言われてきた理由です。
膝関節が緩む時期はあるのか
なぜ排卵期に多いのかというメカニズムはまだ明らかになっていませんが、最近の研究で、健常女性について月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の4期に膝関節の弛緩性実験を行い、関節の柔らかさが変化するかどうかを調べたものがあります。それによると、膝関節及び全身関節の柔らかさは月経周期によって変化しなかったものの、歩行時に膝(膝関節)が伸びすぎる、伸びきってしまう状態(反張膝)になる女性は、卵胞ホルモン(エストロゲン)濃度の高い時期(排卵期)に、膝関節の柔らかさが増すことが明らかとなりました。つまり、排卵期に膝を負傷しやすい傾向があるということです。
障害予防のためのトレーニング
ケガや障害の発生や頻度は、スポーツにおけるパフォーマンスの習熟度に関係しており、関節の動かし方、重心移動、筋力を発揮するタイミングなども関係していると言われています。そのため膝だけではなく、競技特性や個人の全体的な能力も総合的に判断し、トレーニングを進めていくことが重要です。加えて、月経周期により、女性の体が変化するということも頭に入れておいておくと良いでしょう。
今回紹介するのは「コンニャクとちくわの甘辛煮」です。コンニャクにはあまり栄養がない印象があるかもしれませんが、繊維が多く、腹持ちがよい食材です。
日頃、コンニャクを使う機会は「おでんや筑前煮を作るときしか思い浮かばない」という方もいるかもしれませんが、甘辛煮にして常備菜にしておくとお弁当のおかずや一品足りない時に重宝します。
参考文献:Relationship between anterior knee laxity and general joint laxity in the menstrual cycle. Maruyama S, Yamazaki T, Sato Y, Suzuki Y, Shimizu S, Ikezu M, Kaneko F, Matsuzawa K, Hirabayashi R, Edama M. Orthopaedic Journal of Sports Medicine [in press]
Maruyama S, Sekine C, Shagawa M, Yokota H, Hirabayashi R, Togashi R, Yamada Y, Hamano R, Ito A, Sato D, Edama M. Menstrual cycle Changes joint laxity in females -differences between eumenorrhea and oligomenorrhea- Journal of Clinical Medicine (in press).