Jリーガーから競輪選手に転身した異色アスリートの北井佑季(32)は「食」へのこだわりも独特だ。
北井 まずは量を食べることを意識していますね。「質より量」とまでは言わないけれど、競輪場、街道、ジムなど、長い時は朝の8時半から夜の10時ぐらいまで練習することもあるので、食べないとすぐに体重が減ってしまう。練習の合間の休憩時間=食事時間という感じですね。
―サッカーと競輪では「食」が違うのだろうか?
北井 サッカーは90分間走らないといけないので、試合の2日前から炭水化物を多めに摂って、消化に時間のかかるタンパク質は減らしていきました。でも、競輪は2~3分の瞬発系のスポーツなので、それはあまり気にしていません。やはり量ですね(笑)。
―質に関してはどう考えているのだろうか?
北井 タンパク質を摂ることを一番意識していますね。Jリーグのクラブには管理栄養士さんがいて、そこで聞いた知識の1つですが、炭水化物は意識しなくても案外摂れるらしいのですが、タンパク質は意識しないとなかなか摂れないそうです。必要な量に足りていないときにはサプリメントに頼ることもありますが、やはり食事で摂る方がいい。肉、魚、大豆、卵など好き嫌いなく、食べています。
―自分で料理はするのだろうか?
北井 時々しますね。一番の得意料理はサケのムニエルです。これは母の直伝で、本当においしいんです。自分が高校を卒業して家を出る直前に教えてもらいましたが、まだまだ母の味には届きませんね。
―他に好きな食事は?
北井 やはり魚介類ですね。イカや貝が特に好きです。逆にフルーツ系はあまり食べないので、もう少し摂らないといけないと思っています。
―これからアスリートを目指す中高生にアドバイスを。
北井 栄養のバランスのいい食事をすることはもちろん、それに加えて、今、食べている物が自分の体を作り、競技力や能力を向上させるためにどう役だっているのか、ということを考えながら食べることが大切だと思います。【聞き手・栗田文人】
◆北井佑季(きたい・ゆうき) 1990年(平2)1月27日、神奈川県生まれ。J1出場こそないものの、FC町田ゼルビア、松本山雅FC、カターレ富山などJ2、J3クラブに所属し、リーグ戦はもちろん、12年の天皇杯で町田のベスト16進出に貢献するなど、点取り屋として活躍した。サッカー引退後の20年に競輪選手養成所に第119期生として入所し、21年5月に静岡競輪場でデビュー。昨年末に最下クラスのA級3班内の上位選手による特別レースで優勝し、同2班に特別昇班。最上クラスのS級昇格も確実視されている。