加齢と共に増えてくるのが「物忘れ」や「うっかりミス」です。特に更年期になると、ホルモンバランスの変化により、男性も女性も脳機能が衰え、集中力や記憶力が低下します。55歳の記憶力は20歳時の約50%まで下がると言われています。

ミスが続くと、ストレスや自己評価の低下につながります。そのような状況を受け入れることも大切ですが、防止策はないのでしょうか。

集中力や記憶力を高めるためには、脳機能を健康に保つための栄養素の摂取が推奨されます。日常の食事に、次のような食材を意識して取り入れていきましょう。

脳の機能を高める栄養素

1、オメガ3脂肪酸
 脳の機能に重要な役割を果たし、記憶力や集中力を向上させます。
 多く含まれる食材=サーモン、マグロ、イワシ、サンマなどの脂肪分の多い魚やナッツなど

2、ビタミンB群
 特にB6、葉酸、B12は、脳のエネルギー代謝や神経伝達物質の生成に必要で、集中力や記憶力を高めます。
 多く含まれる食材=全粒穀物、卵、肉類、豆類、緑黄色野菜(ホウレン草、ブロッコリー)、魚介類など。

3、ビタミンD
 認知機能の調整に役立ち、集中力にも影響を与えます。
 多く含まれる食材=魚(サーモン、マグロ、サバ)、卵黄、キノコ類など。

4、マグネシウム
 神経の伝達を助け、記憶力を向上し、リラックスを促しながらも集中力を高めます。
 多く含まれる食材=ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)、葉物野菜(ホウレン草、ケール)、全粒穀物(玄米、全粒小麦)など。

5、鉄分
 酸素を脳に供給するために必要で、不足すると集中力が低下することがあります。  多く含まれる食材=赤身の肉、レバー、ホウレン草、レンズ豆、強化シリアルなど。

6、コリン
 アセチルコリンという神経伝達物質の前駆物質であり、記憶力に関与するとして最近注目の栄養素です。
 多く含まれる食材=卵黄、レバー、大豆製品など。

7、抗酸化物質(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、フラボノイドなどポリフェノール)
 脳細胞を保護し、酸化ストレスを軽減することで集中力を高め、脳の血流を改善することで認知機能を向上します。
 多く含まれる食材=果物(オレンジ、ブルーベリー、イチゴ)、野菜(ブロッコリー、ホウレン草)、ナッツ(アーモンド、ヘーゼルナッツ)、ハイカカオチョコレートなど。

8、カフェイン
 短期間の集中力や記憶力を向上させ、適度に摂取することが重要です。
 多く含まれる食材=コーヒー、紅茶、緑茶、ハイカカオチョコレートなど。

9、プロバイオティクス
 腸内環境が脳の健康に影響を与えることがわかっており、プロバイオティクスは認知機能に良い影響を与えることが期待されています。
 多く含まれる食材=ヨーグルト、キムチ、みそなど。乳酸菌、オリゴ糖、食物繊維の摂取が推奨される。

10、水分
 脳は十分な水分補給がないと機能が低下します。水分をしっかりと摂ることも集中力を維持するために重要です。

老化に少しでも抗い、自分に自信を持ち続けたいですね。食生活に上記の栄養素をとり入れて脳機能を維持していきましょう。

管理栄養士・今井久美