皆さんが日常、食べているお米(白米)、うるち米には2種類のでんぷんが含まれています。アミロースとアミロペクチンです。

でんぷんは、ブドウ糖がつながってできています。アミロース、アミロペクチンはそれぞれ体内で分解されると最終的にはブドウ糖になるので、一見、体に対する作用は同じに見えます。しかし、構造が違うため、実は吸収の速度や血糖値の上がり具合、内臓への負担が変わってくるのです。

アミロースとアミロペクチン

アミロースは、ブドウ糖が1本のラインでつながっているのに対し、アミロペクチンは、ブドウ糖が枝分かれしてつながっています。言い換えると、アミロースは末端(端っこ)が少なく、アミロペクチンは枝分かれしているので末端がたくさんあります。

体内で、これらでんぷんを細かく分解しているのが消化酵素です。消化酵素の特性として、物質の端から切っていく(消化していく)性質があります。そのため、末端が多ければ多いほど、消化酵素を1度にたくさん使うことになってしまいます。

つまり、アミロースの方が消化酵素を使わずに済み、内臓の負担も減る、ということになります。また、ゆっくり消化されるため、血糖値の上昇も穏やかになり、太りにくいと言えます。日常に食べるお米としては、アミロースがより多く、アミロペクチンが少なめのお米の方が、内臓の負担が少なく血糖値も上がりにくいためオススメです。

アミロース多めはササニシキ

それでは、アミロースが多めのお米とはどんな品種があるのでしょうか。

日本で伝統的に作られている昔ながらのお米は、アミロースが多めでした。今も作られている品種の中ではササニシキが最も有名です。

アミロペクチン100%はもち米

逆に、アミロペクチンが100%のお米は、もち米です。アミロペクチンが多ければ多いほど、モチモチした食感になり、冷えてもパサパサしないもっちりしているというお米になります。

近年、うるち米でも、そのようなアミロペクチン多めのお米が好まれる傾向にあり、コシヒカリやミルキークイーン、あきたこまちなどが代表です。確かに、アミロペクチン多めの品種はお米だけでもおいしいです。しかし、そのせいでお米をたくさん食べ過ぎてしまい、バランスを崩してしまうこともあります。血糖値が上がりやすいため太りやすく、体にとってストレスも大きくなります。

タイ米やインディカ米は高アミロース

一方、高アミロース米と呼ばれるのは、タイやインドで食べられているタイ米やインディカ米、ジャスミンライスなどと呼ばれるお米です。とてもサラッとしているため、ご飯だけではなく、必ず汁物にしたり、炒めて食べます。日本でも、日本人に好まれる味を追求した高アミロース米が開発されていますが、お値段は割高です。

高アミロース米は消化に優しく内臓への負担も少なく、血糖値の上昇もモチモチしたお米に比べて緩やかですが、毎日、食べ続けることは難しいかもしれません。ただ、でんぷんの特性を知り、選んで食べると良いでしょう。お米をたくさん食べるのが苦手という方には、ササニシキなどアミロースが多めのお米をチョイスすると良いと思います。

今回紹介するレシピは「フライパンで作るカレーピラフ」。お米から作るピラフです。

アミロースが多めのササニシキや古代米で作った方がべとつきませんが、自宅にあるお米で大丈夫です。野菜やお肉もたっぷり入れて、忙しい日の夕食や休日の昼食にお役立て下さい。

管理栄養士・園部裕美