山本 先ほども話したんですが、魚の缶詰ってどうやって食べたらいいかよくわからないんです。
相川 缶詰は食材として、野菜などに混ぜると使いやすいですよ。下味がついていて加熱済みなので、調理時間もぐっと短くなります。常温で3年保存できるので、余らせる心配がないのも強みです。
三浦 魚にはアスリートに欠かせないたんぱく質が豊富に含まれていますし、サバやイワシなどの青魚には、血液の流れをよくし、持久力を付け、疲労回復に役立つEPAや、脳の働きを活性化させるDHAが含まれます。特にコースのラインどりをイメージしたり、頭を使うカヌースラローム競技の選手には是非積極的にとっていただきたい食材です。また缶詰の場合は骨まで軟らかく煮えているので、カルシウムもたくさんとれますね。
山本 魚もできるだけ食べようとしているんですが、調理するのが大変なので、練習がある日はなかなか食べられなくて……。缶詰だと簡単に食べられそうですね。
相川 今日用意したレシピは水煮缶を使った「さばのキムチ納豆」「さばの炊き込みご飯」「さばバーグ」の3種類。どれもとっても簡単ですし、アスリートに必要なたんぱく質をとることができます。
<さばのキムチ納豆>
相川 山本選手は納豆が好きだとうかがったので、そこにサバを足してタンパク質を補強しました。魚特有の生臭さが苦手だという人向けに、キムチも入れています。ごはんに乗せても、豆腐に乗せてもおいしいです。
三浦 納豆に含まれるビタミンKは骨の形成を促す働きがあります。いい組み合わせです。
また、サバに含まれるビタミンDがカルシウムの吸収を促し、強い骨を作ってくれます。さらに大豆に含まれているビタミンB1は疲労回復の効果が期待できますので、夜食べるのもいいですね。
<炊き込みご飯>
相川 ハードな練習で食欲が落ちるときでも、炊き込みご飯なら食が進むと思います。好きな野菜を切って入れて、サバ缶を汁ごと入れてスイッチを押すだけ。とても簡単ですよ。
三浦 夜作っておいて、朝ご飯にも召し上がってもいいと思います。炊き込みご飯には野菜が含まれていますが、日中に消費するビタミンCを朝食で先取りしておくために、フルーツやトマトなどと一緒に食べると、さらにいいですね。
<さばバーグ>
相川 お肉のハンバーグは玉ねぎを炒めたり、焼き加減が難しかったりと手間がどうしてもかかりますが、サバ水煮缶を使うさばバーグはとても手軽に作ることができます。お休みの日にまとめて作っておいて、冷凍保存もおすすめです。今日は野菜あんかけをのせた中華風と、オーロラソース、キャベツ、チーズをのせて焼いた洋風の2種類のアレンジ料理を用意しました。
山本 うわー、おいしい! 生臭さもないし、食感も思っていた以上にふわふわしています。しつこくないのでたくさん食べられそうです!これは是非作ってみたいです!
レシピの幅を広げてくれるサバ缶
山本 缶詰は缶詰単体で食べるものだと思っていたので、アレンジして食べるという考え方がありませんでした。調理時間もあまりかからなそうだし、これだと手軽に魚を取り入れられますね。
三浦 生野菜の上にのせればドレッシングいらずで食べられますし、お味噌汁の具にしてもいいんですよ。
相川 魚を手軽に摂ることのできる缶詰を是非活用して下さいね。海外遠征にもおすすめですよ!
山本 そうなんですか。来週のポーランド遠征から、しっかり持って行きます。今季の目標は、国内ランキングのトップ3に入ることと、世界と戦える漕ぎをすること。教えていただいたレシピを参考にして、もっと体を大きくして挑戦していきます!
山本嶺(やまもと・りょう)
1996年生まれ、千葉県出身。越谷東高、駿河台大を経て2018カヌースラロームジャパンカップ・キョクヨーシリーズ最終ランキング4位。165センチ、63キロ。
三浦理代(みうら・まさよ)
女子栄養大学栄養学部卒業後、東京大学で博士号(農学博士)を取得。管理栄養士。現在は女子栄養大名誉教授で株式会社極洋の社外取締役も兼務。
相川公子(あいかわ・きみこ)
株式会社極洋 商品開発部所属。主に缶詰の開発に携わる。また缶詰の啓蒙活動にも力を注ぐ。栄養士。中学生と小学生の男児の母。