補食用のご飯も雑穀米
雑穀米の取り組みは「自宅組」の選手にも好影響を与えている。昨秋の関東大会4強入りの立役者となった左腕エースの宮下宝(2年)は身長175センチで、入学時67キロだった体重が75キロまで増えた。
昨年11月に保護者向けの栄養指導を行っており「受講した母と相談して、補食用のご飯も雑穀米にしています。臭みもなく、モチモチしておいしいです。自分はスピードがないので体を大きくして体力をつけ、夏までに135キロを出せるようにしたい」と意気込んでいる。
取材時、選手たちはセンバツに向けて10日間の強化合宿中だった。朝5時に起きて持久走や体幹トレーニング、ノックや打撃練習などの基礎練習に明け暮れた。ハードな練習で体重が減らないよう、午後3時にご飯、納豆、プロテイン入りみそ汁で補食をとったが、ここでも雑穀米が活用されていた。
さぁ、本番まであと約2カ月。主将の広瀬智也(2年)は「みんな明るく元気があるチーム。徹底力をテーマに、センバツまでしっかり準備します ! 」と宣言。1999年夏に県勢初の全国制覇を果たした福田治男監督(現利根商監督)から2018年秋にバトンを受け継いだ今泉監督が選手とともに新たな伝統づくりを目指す。桐生第一が、絶好〝腸〟で聖地に乗り込む ! 【樫本ゆき】
◆アスリート雑穀米 桐生第一のほか、北海(北海道)や浦和学院(埼玉)、松山聖陵(愛媛)などで保護者向け栄養指導を行っているカラダツクル株式会社代表取締役の久保翔平さん(27)は「食べたものを分解、消化、吸収しているのは胃と腸です。胃腸が整っていないと栄養を正しく吸収できません」と雑穀米の長所を説明する。おいしさと鮮度を追求した6種(あわ、いなきび、ひえ、はと麦、大麦、そばの実)のブレンド米を岩手の生産農家から仕入れ各校に提供している。全国の強豪校指導者の間で口コミで伝わり「雑穀米ブーム」がじわじわと広がっている。
◆桐生第一 1901年(明34)創立の私立校。野球部は85年(昭60)創部で、甲子園は過去、春5度、夏9度出場。99年(平11)夏、正田樹(元日本ハムほか)を擁して群馬県勢初の全国制覇。主なOBは、小島脩平(オリックス)、藤岡貴裕(巨人)ら。部員は50人(2年=29人、1年=21人)。所在地は群馬県桐生市小曽根町1の5。
(2020年1月27日付、日刊スポーツ紙面掲載)