川村怜主将はフィジカルにも強さが

2大会連続でパラリンピックに出場するFP川村怜(りょう)主将(35)はプレースタイルが変わった。陸上競技で鍛えた脚力と運動量で相手を交わすプレーが強みだったが、そこにフィジカルの強さが加わった。170センチ、68キロと昨年と比較すると4キロ増量し、取り組みの成果を実感している。

日本代表のキャプテンを務める川村
日本代表のキャプテンを務める川村

「3食と補食で、1日4~5食食べています。ご飯の量は1食300~500g。補食にはおにぎり、ヨーグルトやナッツ、はちみつ、甘酒、ようかんなど。揚げ物は食べませんが、アマニオイルやえごまオイルも使っています」と内容も徹底している。食事を整え、体調を気にしてくれる妻への感謝も忘れない。

「確実に、目標に向かって進んでいます。世界のトップと対戦するとき、高強度のプレーを続けられるように、残りの期間でできる限りの対策をして、パリでメダルを取りたい」と静かな語り口の中に燃えたぎる闘志が見えた。

キーマン後藤将起は毎食2合の米

5月のワールドグランプリで4得点を挙げて大会得点王に輝いたのが、FP後藤将起(39)だ。7月に大阪で行われたダイセルブラインドサッカージャパンカップ(日本は2位)でもMIP(最も印象的な選手)に選ばれた。

2年前から妻に3人の子どもを任せ、広島から単身で上京。都内の会社でマッサージ師として働きながら競技と向き合い、自炊をする。

大室コーチ(右)とボールを競り合う後藤
大室コーチ(右)とボールを競り合う後藤

1月頃から増量に取り組み、好きなご飯を毎食2合(ご飯約660g)、「修業のように黙々と食べる」と話す。おかずは、鶏肉とミックス野菜で野菜炒めを作ったり冷凍おかずを活用。165センチと小柄だが、成長期の部活生のように米を食べ、5キロ単位で購入する米は1週間でなくなるという。

元々、小学校から高校までサッカーに打ち込み、地元の県選抜候補にも選ばれるほどの実力者。視力を失ったのは30歳と競技歴が浅いがゆえに、以前はボールコントロールに難があったが、大会で経験を積むごとに成長している。「このチームでメダルを取りたい。家族には寂しい思いをさせているので、必ずメダルをとって、見せたい」とこみ上げる思いをグッと抑えながら話した。

パリパラでの日本の初戦の相手はコロンビア。9月1日11時半(日本時間18時半)のキックオフに向けて、日本代表は最後の調整に入っている。

ブラインドサッカーのボールは転がるとシャカシャカと音がする
ブラインドサッカーのボールは転がるとシャカシャカと音がする

ブラインドサッカー
視覚障がいの選手がプレーする男子の5人制サッカー。パラリンピックでは全盲の4人のフィールドプレーヤーと、健常者や弱視者が務めるGKの計5人で対戦する。コートはフットサルと同じ広さで、両サイドライン上に高さ1mほどのフェンスが隙間なく並ぶ。ボールはフットサルと同じ大きさ(直径20cm)だが、内部に金属のプレートが取り付けられており、転がると「シャカシャカ」と音が鳴る。ボールを取りにいく時には「ボイ」(スペイン語で「行く」の意味)と声を出すルールがある。試合時間は前半、後半各15分。

パリパラリンピックでのブラインドサッカー
パラリンピックでは2004年アテネ大会から男子のみ正式競技(当時は5人制サッカーの名称)となり、日本は2021年東京大会に開催国枠で初出場して5位。パリ大会は初めて自力で出場を決めた。最新の世界ランキングは史上最高位の3位。
グループリーグでは同12位のコロンビア(9月1日11時半、日本時間18時半)、同8位のモロッコ(9月2日13時半、同20時半)、同1位のアルゼンチン(9月3日13時半、同20時半)と対戦する。

ブラインドサッカー日本代表
【FP8人】
川村怜選手(35)
佐々木ロベルト泉選手(46)
園部優月選手(20)
鳥居健人選手(33)
平林太一選手(17)
後藤将起選手(39)
永盛楓人選手(23)
高橋裕人選手(25)

【GK2人】
佐藤大介選手(40)
泉健也選手(32)

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】