9月のハンドボール国体少年男子で富山県代表の氷見高校が優勝し、春の全国高校選抜大会、夏の全国総合体育大会(インターハイ)と合わせて「高校3冠」を達成しました。私はこのチームを2016年、ちょうど今の3年生が入学してくる頃からサポートしてきたので、本当に指導者冥利(みょうり)に尽きます。
このチームには、春の全国中学生選手権の優勝校や準優勝校の選手が集まり、また、世代別の日本代表候補の選手もいたので、食事に対する意識は元々高かったような気がします。彼らにどのようなことを伝えてきたのか、彼らがどのように食事をとってきたのかを3回に分けてお伝えします。
みんなでやらなければ成り立たない
最初に私が選手たちに伝えたことは、「食事がパフォーマンスに影響する」「今の食事が数年後を左右する」。また、チームスポーツですので、「1人ではなく、みんなでやらなければ、チームとして成り立たない」といったことです。チーム全体の意識の底上げを図りました。
1年目はセミナーを中心に指導し、基本的な食生活を充実させ、体を作ることを目標としました。特に3食+補食について各自でできるようにしました。
学校で補食、自宅でしっかり夕食
ハンドボールは、ディフェンスでは体を張って相手を止めなくてはなりません。どの競技でも同じですが、相手に倒されない、負けない体作りは非常に重要です。オフの鍛錬期は非常に短く、2カ月ほどしかありません。トレーニング時は、1年生全員で炊いたご飯とタンパク質のメニュー1品を補食として食べて帰り、再度、家でしっかり食事をすることを徹底しました。
朝食べられなければ学校で分割
朝食で苦労する選手もいました。朝に食が進まない選手は、家では食べられるものを食べて、おにぎりやパン、豆乳、ナッツなど持ち運びしやすいものを学校で食べたり、スープやシリアルなどを活用したりして、食事量の確保に努めました。
補食に関しては、菓子パンやスナック菓子をやめ、バナナなどの果物やオレンジジュース、ご飯、乳製品に変更しました。そうすることで、次第にしっかり食べられるようになり、体が大きくなっていく選手が増えていきました。
おいしい補食として、彼らにも紹介したのが「肉巻き団子」です。市販のみたらし団子を使って、ボリュームたっぷりな肉巻き団子が作れます。手軽に作れるので、保護者の方にも好評でした。
選手たちの胃袋を育てたのは、保護者の皆さんの力によるもの。毎日のお弁当や補食を作るのは非常に大変なことです。まだ、大会に帯同していなかった2016年度、2017年3月の全国選抜大会(3位)では、メールで食事を確認し、不足している食品を買いに行ってもらったり、食べてよいメニューや試合前には避けた方がよいメニューを伝えたりしていました。高校3冠は、保護者を含めてチーム一丸となって戦った結果だと思います。
次回は、サポート2年目から行ったことついてお話します。