<東印度咖喱商会築地場外店(下)>

 「カレーはソースです。何にでもかけて食べてください」。我妻明社長(52)は、トンカツにかけるソースと同じように、カレーを常備食として、何にでもかけて食べて欲しいと力を込めます。

 カレーの食べ方も、もっと自由であるべきと、お店のカウンターには漬物や、季節の野菜を日替わりで調理した無料の付け合わせを常時、5種類程度並べています。この日、目を引いたのは社長のお母さんがつけたという無添加梅干し。「カレー+梅干し」という“酸っぱカレー味”も、なかなか良い感じでした。

東印度咖喱商会の定番メニュー、上々カレー。ご飯は通常ふた山盛られるがひと山にしてもらいました
東印度咖喱商会の定番メニュー、上々カレー。ご飯は通常ふた山盛られるがひと山にしてもらいました

 管理栄養士の今井久美さんは「カレーはどんな食材にも味が合うため、嫌いな食材をあえて入れて、挑戦してみるのもおすすめです。」と話します。この夏休みの“宿題”として、カレーに合う食材の自由研究や、苦手な克服のチャレンジをしてはいかがでしょうか。

 一方で、夏は食中毒の多い季節です。家庭でカレーを作るには十分な加熱と早めに食べきることが重要です。特に、タンパク質と水分を多く含む食材は腐敗しやすいため、肉や魚介類などは十分な加熱が必要です。

 我妻社長は「だから、うちのカレーはジャガイモ、人参、肉などは一緒に煮込まないし、腐りやすいものは入れないんだよ」と説明。ジャガイモ、タマネギ、人参、肉などは別に調理し、トッピングしてルーをかけるスタイルです。これなら冷凍できるし、我妻社長の言う「ソース」として使い回しできそうです。

東印度咖喱商会の店内
東印度咖喱商会の店内

 お店など業務用で作る場合、しょっちゅう火入れ作業を行い、そのたびに煮沸消毒され、頻繁にかき混ぜるので、腐敗の最大の原因となる、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの嫌気性細菌が繁殖しづらい環境にあります。

 しかし、家庭ではそこまでできません。残ったら冷凍。東印度咖喱商会のようにルーだけ作るか、具材を取り除き、ルーだけ冷凍することが望ましいようです。具を入れて冷凍する場合は、できるだけ急速に冷凍できるように、袋を薄くのばした状態で、氷水で冷やしてから冷凍すると良いようです。

お店の外壁には東印度咖喱商会の横断幕
お店の外壁には東印度咖喱商会の横断幕

 日本発のカレーを世界へ発信したいという思いから、17~19世紀半ばにアジア地域との貿易独占権を与えられた英国やオランダの特許会社「東インド会社」の名前をもらい、店名をつけたという社長ですが、実はインドには行ったことがないそうです。それでも独学でスパイスを勉強し、人気のカレーを作り上げました。ぜひ、試して欲しい味です。

東印度咖喱商会 築地場外店
 

住所:東京都中央区築地4-10-7夕月ビル2階
電話:03-3545-5108
営業時間:平日10:00~15:00、土日祝:8:00~15:00
定休日:不定休