食中毒は1年を通して発生していますが、特に11月~2月に流行するのが、ノロウイルスによるものです。発症までの潜伏期間は1~2日で、激しい嘔吐や下痢、発熱が特徴。健康な人なら2~3日で回復することがほとんどですが、脱水に陥りやすい乳幼児や高齢者は重篤化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することもあります。
ノロウイルスによる食中毒は集団感染もあるため、厚生労働省の「食中毒統計調査」によると、平成30年から令和4年までの年間食中毒の患者数平均で1位(42%)となっています。ワクチンのないノロウイルスに感染しないためにどのような予防・対策をすればいいのでしょうか。
感染力が強く少量でも発症
ノロウイルスは生命力、感染力が強く、少量でも発症するのが特徴です。感染ルートとしてはほとんどが経口感染で次のようなケースが考えられます。
ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取したり、ノロウイルスに汚染された水の中に存在した牡蠣などの二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べたりすることによって、ウイルスが小腸粘膜で増殖し、感染します。
家庭や保育園などで多い二次感染
感染者の家庭や、保育園や学校などの共同生活施設では、二次感染も多く生じています。感染者の便や吐しゃ物から他の人が飛沫感染したり、ウイルスがついた手指でドアノブや水道の蛇口、食材などを触ったことにより、そこに触れた他人の手指から口にウイルスが入ることがあるのです。
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて感染が起きた事例もあるように、時間がたっても患者の吐ぶつ、ふん便などによって汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性もあります。このため汚染された物や感染源となる物は、ウイルスが飛び散らないように注意しながら速やかに処理をしましょう。処理する際はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことも大切です。
調理する人からの感染も増加傾向
また最近では、食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などを含む)の感染によって、その人を介して汚染した食品を食べた事例が増加傾向にあります。そのため厚生労働省などでは注意を呼びかけています。
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