アスレシピセミナー「身長を伸ばす食事」の4期が無事終了しました。今回も、多くの保護者の方に参加いただき、ありがとうございました。

元々バレーボールの指導者だった私は、子どもたちを「いかに大きくできるか」という課題を抱え、高校の指導現場にいました。これまでも触れてきましたが、バレーボールはかなり身長が大きな要素を占める競技です。教員から現在の仕事になった際に、「背を伸ばす!小学生バレーボーラーの食事と生活」というセミナーを開催したのが、アスレシピでの講座の基になっています。

早い時期からの栄養と睡眠が成長に影響

「身長を伸ばす」ことを調べていくと、身長を伸ばすことはバレーボールに有利になるだけではないことを知りました。高校生よりも中学生、中学生よりも小学生…と早い時期からの栄養や睡眠が、その後の成長に影響することがわかりました。

幼児の頃の体格は主に、出生後にどれだけ食べたかで決まりますが、それも含めもっと早い時期、すなわち母体が健康で平均的な体重で出生するかどうかも子どもの成長や健康に関わります。将来母親になることを考えると、高校生以上の10代後半から20代の若い女性への健康教育が重要ということになってきます。

「成長曲線」に身長・体重を記録

今回のセミナー受講者は、小学校低学年から高校生までのお子さんを育てる方々でした。そこでよく話題にしたツールは「成長曲線」です。

成長曲線に身長や体重を記録すると、成長に関わる病気が潜んでいないかがわかります。また、身長が伸びているのに体重増加が思わしくなければ、エネルギー不足の可能性もあります。エネルギー不足はあまり意識されていないのですが、成長ピークの時はエネルギーの必要量が増えますので食事量を増やさないとエネルギーが不足しやすくなるのです。

エネルギーや栄養素は過不足なく

身長が伸びる時はまだ骨が柔らかく、特に小中高校年代では練習量が多すぎたり、練習のさせ方によって故障のリスクは上がります。成長期間の個人差、男女の差もあります。

中には小学生でも、複数の競技のクラブをかけもちしているお子さんもいて、活動量が多すぎてエネルギーが足りていないのでは…と心配になるケースも見うけられました。

一方、十分にエネルギーが足りていることが成長には必要ですが、「過剰」でいわゆる肥満となっているのではというお子さんもいました。肥満になると、成長は早く止まりがちです。

「ちょうどよく」は、なかなか難しいです。小学生でのラグビー、相撲、野球などその後の競技として増量が必要となるものは特に注意が必要だと感じています。

子どもたちの活躍を支えるために、参加した保護者の方々は本当に熱心で、私としてもお役に立てるように努めました。今回もやりがいのある4回でした。

子どもが活躍する時期のピークは、成長時期とも関係します。小学生から目立つ活躍で立派なプロの選手になった人もいる一方、小中学生ではひょろひょろで力もなかった少年が、高校、大学と経て日の丸をつけることは珍しくありません。お子さんのパフォーマンスを支えていく中に、「成長」の要素も取り込めたら、きっと最高の栄養サポートになるでしょう。

今回は「鶏レバーとカリカリ油揚げと水菜のスタミナサラダ」を紹介します。

長く暑い時期が過ぎ、秋になると貧血になっている選手が出てきます。成長期で身長の伸びている時、また伸びが緩やかになった時なども鉄欠乏性貧血に要注意の時期と言えます。

食べられるならやはり、貧血の予防や改善にレバーはおすすめの食材です。この1食でも鉄が4.1mg、亜鉛が1.6mg、ビタミンB群や葉酸もとれます。

鉄欠乏性貧血の予防や改善には鉄分だけでなく主菜のタンパク質や、主食の糖質も十分に必要です。成長期のアスリートの皆さんは、毎日最高の練習ができるようしっかり鉄分をとってくださいね!

管理栄養士・月野和美砂