南国鹿児島もずいぶん涼しくなり、秋の深まりを感じるようになりました。

秋はおいしいものがたくさんありますね。多くの生き物は冬の厳しい寒さと飢えをしのぐため、秋にたっぷり栄養を蓄えようとします。私たち人間はそこまでする必要はありませんが、やはりこの時期の栄養豊富な食べ物をいただくことは、毎日を元気に過ごすためにとても大切です。

今回は「隠れ貧血」をテーマにお伝えします。

隠れ貧血ってなに?

「スポーツ貧血」と言われるように貧血はアスリートが陥りやすい疾病のひとつです。

貧血は、血液中のヘモグロビンが不足した状態。体内で酸素を全身に運搬する役割を担っているヘモグロビンが不足すると、疲れやすくなる、皮膚や爪が弱くなる、イライラしやすくなるなど様々な症状が現れます。特に持久力を必要とする競技では、スタミナがなくなる、楽にこなせていた練習についていけなくなるなど明らかにパフォーマンスが低下します。

貧血の診断基準となる項目のひとつは血液中のヘモグロビン濃度です。これが以下の値を下回ると貧血であると言えます。

成人男性= 13.0g/dL未満
成人女性や小児=12.0g/dL未満
妊婦や幼児=11g/dL未満

月経のある女性は、毎月定期的に血液を失うため、通常時でも基準ギリギリだったり、下回っていたりすることも珍しくありません。

この貧血基準はクリアしているものの、貧血一歩手前の状態のことが「隠れ貧血」です。具体的には「フェリチン」というタンパク質の一種が体内で不足している状態のことを指します。フェリチンは「貯蔵鉄」とも呼ばれ、細胞内に鉄を貯蔵し、必要に応じて利用することで体内の鉄分量を調節する役割を担っています。

貧血は未然に防ぐ

一度貧血に陥ってしまうと、練習を続けながら治療するのは長い時間を必要とします。貧血の診断基準に引っかからない「隠れ貧血」の段階で対処したいところです。

そのために、日ごろからの予防の意識がとても大切です。鉄は一度に大量に摂っても吸収できません。少量でもよいので、鉄を豊富に含む食品を毎日の食事に取り入れるよう心がけましょう。

また、鉄はそもそも吸収率自体があまり高くない栄養素であるため、吸収を助ける工夫も大切です。ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が上がるため、生野菜やフルーツなどビタミンCを豊富に含む食材と組み合わせましょう。

今回紹介するレシピは「プルーンの紅茶漬け」です。プルーンは果物の中では、鉄を豊富に含む食材です。ドライプルーンを紅茶に漬けておくと軟らかくなって食べやすくなります。そのまま食べてもヨーグルトやシリアルにトッピングしてもおいしいですよ。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子