キューバ、ドミニカ、留学生の覚悟が刺激を生む

国際化と多様性、そして共生能力。それが古川学園の強さのキーワードだ。留学生を受け入れたのは4年前。日本バレーボール協会女子強化委員も務める岡崎監督が人の紹介と学校の協力で決断に踏み切った。

日本バレーボール協会女子強化委員も務める古川学園・岡崎典生監督
日本バレーボール協会女子強化委員も務める古川学園・岡崎典生監督

「アジア以外での留学生を起用したのはおそらくうちが初。日本の裏側から来たメリーサは卒業後も日本でプレーすることを希望していて覚悟が違う。考え方や習慣は全く違いますが、共同生活を通じて他の選手にいい影響を与えていると思います」。

身長152㎝のリベロ遠藤生(せい=3年)は「メリーサからスペイン語を教えてもらいました。日本語の教科書を奮闘しながら頑張っている。試合ではメリーサにつなげば必ず決めてくれるので頼もしいです」。

メリーサは「日本人はすごく練習をするし、うまい。めちゃつながる。いくらスパイクが強くてもレシーブができなければ意味がない」と日本のバレーに敬意を持ち、感性を学んでいる。新1年生に身長193㎝、ドミニカ共和国出身の新入生も加わった。高校バレー界の〝ONE TEAM〟。練習再開を信じ、新たな可能性を探っている。 【樫本ゆき】

2月の東北高校新人選手権では3年連続の優勝を果たした古川学園女子バレー部
2月の東北高校新人選手権では3年連続の優勝を果たした古川学園女子バレー部

休部の今はミーティングで一体感を強める

◯…現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて休部とし、選手は敷地内にある寮で予防に努めている。岡崎監督は「春の大会が中止になり、インターハイも危ない。大会の成績は選手の進路にも関わってくるだけに、不安は拭えない」と打ち明ける。「実力的に、このチームは春高で優勝できる力がある。気持ちを落とさず、チーム一丸で乗り越えるしかない」。ミーティングで一体感を強め、前を向いている。

岡崎監督は「ラグビー日本代表が外国人選手と1つになって快進撃を見せたように、これからは国際化も必要。それに合わせ、指導者も勉強していかなくてはいけない。メリーサとの出会いが選手たちにいい価値観を残してくれることを願っています」と話している

古川学園高校 1954年(昭29)、古川商業専修学校として創立。03年(平15)現校名に。女子バレー部は61年創部。全国優勝12回。16年リオ五輪代表の田代佳奈美(デンソー)らを輩出した。部員15人。チームスローガンは「独創性」。所在地は宮城県大崎市古川中里6の2の8。俣野聖一校長。